大谷 ルース以来 フェンウェイ・パークで二刀流の103年ぶりの快挙

レッドソックスの本拠地で大リーグで最も歴史のある球場、フェンウェイ・パークで投打の二刀流の選手が先発マウンドに上がりベーブ・ルース以来103年ぶりの快挙を達成したので記録に残します。

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エンジェルス 大谷翔平【一問一答】7回無失点11奪三振で3勝目
2022年5月6日(金) 午前10:48        NHK:ニュース
 
大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手がレッドソックス戦に投打の二刀流で先発出場し、ピッチャーとしては今シーズンもっとも長い7回を無失点に抑えて3勝目をあげ、バッターとしても2安打1打点と活躍しました。

フェンウェイ・パーク 103年ぶりの二刀流

大谷選手は5日、相手の本拠地、ボストンのフェンウェイ・パークで行われたレッドソックス戦に先発ピッチャー兼3番指名打者で先発出場しました。

ピッチャーとしては立ち上がりからキレのあるスライダーとカーブがさえ、1回は振り逃げを含めて3つの三振を奪いました。3回、2アウト一塁二塁で相手の4番を迎えた場面では、声を出しながら160キロ近い速球を投げ込んで空振りの三振にとり、先制点は許しませんでした。

大谷選手は今シーズン初めて7回のマウンドにも上がり、最後は空振りの三振を奪って雄たけびをあげ、無失点でマウンドを降りました。

打たれたヒットは6本、奪った三振は11個で、99球のうち81球がストライクでした。

バッターとしては、4回の第2打席で大きなフライを打ち上げ、相手のセンターがボールを見失ってフェンス直撃のヒットとなりました。

8回の第4打席はリードを3点に広げてさらにノーアウト満塁のチャンスで初球をライナーで逆方向に打ち、この球場ならではのレフトの高い壁、「グリーンモンスター」を直撃するタイムリーヒットで追加点をあげました。

1回の第1打席はファーストゴロ、7回の第3打席はセンターフライで、4打数2安打1打点でした。

エンジェルスは8対0で快勝しました。

フェンウェイ・パークで投打の二刀流の選手が先発マウンドに上がったのは「野球の神様」と言われたベーブ・ルース以来103年ぶりで、大谷選手は投げて打っての活躍でピッチャーとして今シーズン3勝目をあげました。

レッドソックス澤村拓一投手は、登板しませんでした。

大谷「1点もやらないつもりで投げた」

大谷選手は試合直後のグラウンドでのインタビューで「序盤は苦しい展開だったが勝つことができて、最終的にはすばらしいゲームだった。ロースコアの展開だったので1点もやらないつもりできょうは投げた」と試合を振り返りました。

かつてベーブ・ルースが投打の二刀流で活躍したフェンウェイ・パークで二刀流での出場を果たしたことについては「すばらしい球場で僕も好きな球場。ベーブ・ルースのようなすばらしい選手がプレーしていたところでプレーできるのはありがたいことなので、きょう、よい試合ができてまた1つ励みになった」と話しました。

「野球の神様」に引けを取らない活躍

試合中の走塁で右の股関節の張りを覚えたアクシデントからわずか4日。
大谷選手はベーブ・ルースが100年以上前に投打の二刀流で躍動したフェンウェイ・パークのマウンドで7回無失点、打っても2安打と「野球の神様」に引けを取らない活躍を見せました。

1912年に建てられたレッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークは大リーグで最も歴史の長い球場で、フェンウェイ・パークで先発ピッチャーが1番から4番までの打順に入るのは、この試合の大谷選手がベーブ・ルース以来103年ぶりでした。

ピッチャー・大谷選手は股関節に張りが出たこともあって当初の予定より2日遅れて中7日で、大リーグ5年目で初めてフェンウェイ・パークのマウンドに上がりました。
前夜、延長戦にフル出場してこの日はデーゲームと疲れも懸念され、本人も「体的には重かった」という中、今シーズン最多の99球を投げて、このうち81球がストライク。ストライクの割合はおよそ82パーセントにのぼり、大谷選手は「きょう1番よかったところ」と振り返りました。


「前の試合で中継ぎをけっこう使っていたので長く投げられるように」とチームのブルペン事情も考えて試合に臨み、「いい打線なので、1人1人どんどんゾーンの中で攻めていこうと思った」と最速161.3キロの速球を投げ込む気迫のピッチングを見せました。

股関節はまだ万全の状態ではなくこの試合でも全力疾走は見せませんでしたが、「ピッチングには影響はなかった」と話した大谷選手。そのことばどおり、レッドソックス打線からあわせて29の空振りを奪い、これは大リーグで自己最多でした。

特に、今シーズン、ロッキーズから6年182億円の大型契約で加入した1番のストーリー選手からは4打席すべて空振り三振。7回、この日最後のボールで三振を奪った時はこの試合で1番大きなガッツポーズを作り、ストーリー選手は悔しさからか試合が終わった後そのまま練習場に直行し、メディアの前に姿を見せませんでした。

今から103年前の1919年、当時レッドソックスに所属していた24歳のルースは、9月20日ホワイトソックス戦で4番ピッチャーとして先発出場し、6回途中まで2失点。9回にサヨナラのソロホームランを打ち投打に活躍しました。

1世紀余り後、同じ球場で行われたデーゲーム。太陽の光が降り注ぎ緑の芝がまぶしい球場で、27歳の大谷選手は「野球の神様」に引けを取らない二刀流の奮闘を見せ、エンジェルスのマッドン監督は「本当に特別な活躍だった。彼がどれほどすごいことをやっているか人々が理解してくれることを願っている。これは決して当たり前のことではないんだ」と惜しみない賛辞を贈っていました。

大谷 試合後の一問一答

レッドソックス戦後のメディア取材での大谷選手の一問一答です

ーきのうは延長戦で夜遅い試合からの、きょうのデーゲームだったが?
大谷選手「体的には正直しんどかったですけど、ある程度早めに帰って早めに寝て、いい準備ができたと思います」

ーフェンウェイ・パークで初登板だったが?
大谷選手「好きな球場なので楽しみにしてましたし、いい印象が持てたのでそこもプラスかなと思います」

ーベストピッチングだった?
大谷選手「前回よりはよかったかなと思います」

ーチームにいる年数が長くなるにつれ、本来の自分を出せている感覚はあるか?
大谷選手「もうだいぶ人も違いますし、毎年毎年入れ替えも激しいので、毎年新しいチームかなという感じです」

ーランナーを出してから気合いが入っていたが、ランナーを背負ってからのピッチングについて。
大谷選手「いい打線なので、基本的には一人一人(ランナーを)出さないように投げていました。それでもやっぱり打たれる球もあったので。0点できていましたし、特に最初の方は点をやらないように、スコアリングポジションに(ランナーが)いたら三振を狙うくらいの気持ちでいきました」

ストライク率が81.8%

ベーブ・ルースと同じマウンドに立った。
大谷選手「初めてだったので楽しみにはしていましたし、このシリーズの最後のゲームなので勝って帰れるように、なんとかいいゲームができてよかったと思います」

ーマウンドをどう感じた?
大谷選手「観客も近いですし、もちろんお客さんもたくさん入っているし、熱もあるし、すばらしい球場だなと思いました」

ーストライク率が81.8%。
大谷選手「一人一人、どんどんゾーンの中で攻めていこうかなと。(前の試合で)中継ぎもけっこう使っていましたし、なんとかイニングを長く投げられるように。結果的にそうなったので、きょうはよかったのかなと思います」

ー何がよかった?
大谷選手「いちばんはやっぱりストライク率かなと思いますし、投げている所自体も悪くはなかったので。球自体もよかったですし。こういう日はある程度長いイニングを投げないといけないので、特に競っている試合ではそういう傾向が強いですし、長く投げられてよかったなと思います」

“ギリギリまで寝ていました”

ー歴史的なルース以来の登板で勝てたことについて。
大谷選手「いいピッチングではあったかなと思いますけど、スコアリングポジションも多かったですし。その中でいいプレー、守備に助けてもらったプレーもあったので、(点を)取る時にしっかり取るチーム力がよかったかなと思うので、次回以降もまた切り替えて頑張りたいと思います」

ー野球の神様、ベーブ・ルースが力を与えてくれた?
大谷選手「それはあんまりないかなと思うんですけど(笑)。一つ一つやることやって、その結果いい悪いはもちろんありますけど、1試合1試合納得できるような形で臨むのがまずは大事かなと思います」

ー股関節の張りはピッチングに影響はあったのか。
大谷選手「投げる時はないですね。マウンドでも感じなかったですし、走塁の時は若干(筋肉が)緩んだりしますけど。まだシーズンも最初の方なので、大きいケガにつながらないようにまずは気をつけたいなと思っています」

ーきのうからの疲れは。
大谷選手「疲れましたね。それなりに長いゲームだったので、時差もあるので、そこらへんはちょっと体的には重いかなという感じですね」

ー何時間くらい寝られたか?
大谷選手「ギリギリまで。バスが遅かったので、10時くらいまでは寝ていましたね」
ーピンチの時のピッチングで大きな声出ていたが、自然に出るものなのか。ギアを上げるために使っているものか。
大谷選手「自然に出ますね」

ー継続して思いどおりに自分のボールを投げられている?
大谷選手「全体的にコマンドが整っているので、そこが思い切って腕を振りにいけるところなので。その結果スピードが出るというのはいいところかなと思いますし、コントロールとかコマンドが定まっていない時にはある程度、カウントを整えにいくような感じになってしまうので。そういう意味では悪循環になるのかなと思います」

ーランナーが出ると時間かけて投げていたが意識していた?
大谷選手「特にはないですね。それよりはトータルの球数がある程度決まっているので、その中で丁寧に長いイニングを投げたいなというのはきょうは特に思ってました」

ーきょうはストレートの平均球速がおよそ156キロ。感触は。
大谷選手「そうですね、球速もコマンドもある程度動きに比例してくると思っているので、スピードだけがすべてではないです。向こうの先発のヒル投手もそうですけど、ああやって(ストレートの球速は140キロ台前半)抑えていくのも一つの形なので。その日の体調だったりとか投げているボールによって、投げるコースだったりとか球種を選んでいく。そういう対応ができるのがいいピッチャーだと思います」

ーゲームプランはどこがうまくいったのか。
大谷選手「基本的にゲームプランはきょうはもう、一人一人。基本的なことですけど。まずはピンチを作らない、作ったら点をやらないようにというシンプルなところなので。中継ぎが十分に投げられる状態、全員が整っている状態なら初回から全力でね、一人一人、それこそ全員を三振にとるくらいの気持ちでいけばいいですけど。きょうは長いイニングを投げたいなと思っていたので、たまたまいい方向に転んだかなと思います」

ー追い込んでからすぐに勝負にいった?
大谷選手「きょうはむだに投げないようにはしましたけど。その結果2ストライク後のヒットも多かったので、そこはまた勉強かなと思います」