藤井聡太七冠「王座」挑戦決める 史上初の「八冠」独占目指す

いよいよ8冠への一歩が始まりました。例によってNHKニュースよりの転載です。

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 藤井聡太七冠「王座」挑戦決める 史上初の「八冠」独占目指す

                     2023年8月5日 0時29分

将棋の八大タイトルの1つ、「王座戦」の挑戦者を決める対局が大阪市で行われ、藤井聡太七冠(21)が豊島将之九段(33)に勝って、唯一保持していないタイトル「王座」への挑戦を決めました。藤井七冠は、史上初の「八冠」独占を目指して8月31日から永瀬拓矢王座(30)との五番勝負に臨みます。4日に大阪市関西将棋会館で行われた「王座戦」の挑戦者決定戦で、藤井七冠は豊島九段と対局しました。

先手は藤井七冠で、序盤に大駒の「角」を交換する得意戦法の「角換わり」を目指しますが、後手の豊島九段は応じず、駒組みを進めます。

終盤にかけて藤井七冠は、「飛車」や「銀」を使って相手陣地へ攻め込みますが、豊島九段も巧みに受けて反撃し、互いに持ち時間を使い切って、一進一退の攻防が続きます。そして最終盤、藤井七冠が守りを崩して、相手の「玉」を追い詰めると、午後9時15分、豊島九段が159手までで投了し、藤井七冠が「王座」挑戦を決めました。

「王座」は、藤井七冠が唯一保持していないタイトルで、現在行われている「王位戦」でタイトル防衛に成功したうえで、「王座」を獲得すると、史上初の「八冠」独占となります。「王座戦」五番勝負は、8月31日に神奈川県秦野市で開幕し、八冠独占を目指してタイトルを持つ永瀬王座に挑みます。

藤井七冠 “挑戦できるのは貴重な機会”

勝利した藤井聡太七冠は対局のあと、「終盤は苦しい中でどう勝負するかという局面が長く、最後の最後に勝ちになったと感じている。『王座戦』ではここ数年、結果が全く出せていなかったので今期タイトルに挑戦できてうれしい」と話していました。

そして、史上初の「八冠」独占がかかることについては、「『王位戦』の防衛戦も続いていて、ただちに意識することはないが、挑戦できるのは貴重な機会だと思うので、全力を尽くしたい」と話していました。一方、敗れた豊島将之九段は、「難しい将棋でチャンスを逃していたと思う。悪手もいろいろあった。もう少しうまく指せそうなところもあって反省が多い内容だった」と話していました。

藤井七冠 「全力を尽くしていいシリーズにしたい」

「王座」への挑戦を決めた藤井聡太七冠は、感想戦が終わった4日午後11時に記者会見しました。この中でこれまでの「王座戦」のトーナメントについて「2回戦の村田顕弘六段との対局では終盤にはっきりと負けの局面があったし、きょうの対局も途中いくつか苦しい局面があった。内容的にはこれまでと比べてそれほどよくなったとは言いがたいが、全体として時間がなくなってからも勝負強く指すことができたのはこれまでより少しよかったと思っている」と振り返りました。

そして、永瀬拓矢王座とはふだんから練習将棋を指していることから、「永瀬王座には四段のころから将棋を教えていただいて、自分の力を引き上げていただいた方だと思っているので、タイトル戦の舞台で対戦できるのを楽しみに思っている。ふだんから指していて手の内を知られてしまっているところもあるので、五番勝負に向けてさらに工夫が必要なのかと感じている」と話していました。

その上で、去年の「棋聖戦」以来となる永瀬王座とのタイトル戦に向けて、「八冠がかかること自体はそれほど意識していないが、『棋聖戦』は防衛戦で、今回はこちらが挑戦者なので、全力を尽くしていいシリーズにしたい」と意気込んでいました。
師匠の杉本八段「大いに期待 意識せずのびのびと指してほしい」

4日の対局について、藤井七冠の師匠の杉本昌隆八段は、「形勢が二転三転して、負けてもしかたないような局面もありましたが、ギリギリ踏みとどまる。苦しい局面でも常に最善手を求めて踏み込んでいく藤井七冠の棋風が出たことで“ツキ”も味方したのだと思います」と振り返りました。

「八冠」独占を目指し、永瀬拓矢王座に挑む「王座戦」五番勝負については「永瀬王座は簡単に腰を割らない粘り強い将棋なので、死闘になると思いますが、藤井七冠はこれまでタイトル戦の番勝負で1度も負けていないので大いに期待できます。八冠を達成してほしい気持ちはありますが、意識せずのびのびと指してほしいです」と話しました。
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