将棋 王座戦 藤井七冠がタイトル奪取 史上初の八冠に

ついにやりました。以下NHKニュースより一部編集しての転載です。

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将棋 王座戦 藤井七冠がタイトル奪取 史上初の八冠に

2023年10月11日 21時59分

将棋の八大タイトルの1つ、「王座戦」五番勝負の第4局が京都市で行われ、藤井聡太七冠(21)がタイトルを持つ永瀬拓矢王座(31)に勝ちました。この結果、3勝1敗で「王座」のタイトルを奪取し、将棋界で史上初となる八大タイトル独占を達成しました。

王座戦」五番勝負は、挑戦者の藤井七冠が永瀬王座を相手にここまで2勝1敗とし、タイトル獲得まであと1勝としていました。

第4局は11日、京都市のホテルで行われ、先手の永瀬王座が桂馬を跳ねる積極的な手を示し、後手の藤井七冠は午前中からおよそ1時間の長考を繰り返します。

午後に入ると永瀬王座も2時間を超える長考をはさみ、互いに攻撃の糸口を探るじりじりとした展開が続く中、永瀬王座は「角」や「銀」を活用しながら攻撃の態勢を整え、次第に形勢を有利にします。

藤井七冠は先に持ち時間を使い切りますが、その後永瀬王座も時間を使い切り、互いに「1分将棋」となります。

一進一退の攻防が続く中、永瀬王座が最終盤で勝ち筋とは別の手を指して、藤井七冠が逆転。そのまま相手を追い詰め、午後8時59分、永瀬王座が138手までで投了しました。

この結果、藤井七冠が3勝1敗で「王座戦」を制し、残していた最後のタイトル「王座」を獲得して将棋界で史上初の八大タイトル独占を達成しました。

藤井八冠はすでに今年度4つ目の防衛戦となる「竜王戦」七番勝負に臨んでいて、その後も「王将」や「棋王」などの防衛戦が続きます。

「王座」を獲得し、将棋界で史上初となる八大タイトル独占を達成した藤井聡太八冠(21)は対局後に「早い段階からかなり激しい展開になり、苦しくなってしまった。結果は幸いしたが、この経験を糧にして、もっと実力をつけていかなくてはいけないなと感じています」と話していました。

そして史上初の八冠独占について尋ねられると「結果は良かったが、それに見合った力があるかといえばまだまだだと思うので、引き続き実力をつけていくことが必要かなと思います」と話していました。

対局後、敗れた永瀬拓矢九段(31)は「前回のタイトル戦である棋聖戦の時よりはだいぶ差が縮まったと思うが、終盤でチャンスがあったときに決定力が足りずに負けてしまうということを2局続けてしまった。全体的には1局1局、全力で挑むことができて、いまの自分の全力は出せたのではないかと思う」と振り返りました。

一方、今回、敗れたことで無冠となったことについて尋ねられると、「公式戦で藤井さんに教えていただいて、勝負が始まる前とあとでだいぶ見えてきたものも違うかなと思う。個人としては悲観せずに今までどおり一歩一歩、がんばっていきたいと思います」と話していました。

藤井聡太さんが史上初の「八冠」を達成したことを受けて、藤井さんの師匠の杉本昌隆八段は、「王座獲得、そして史上初となる八冠達成本当におめでとう。どんなに険しい道でも臆せず挑戦し、考え抜いた末に最後は必ず正解にたどり着く。それは、私たちが持っている『人間力』を大事にして、その能力を十全に発揮したからでしょう。全冠制覇も藤井八冠にとってはゴールではありません。これからも自分の信じる道を突き進んでください。期待しています」とコメントを発表しました。

日本将棋連盟羽生善治会長は、「八冠達成、誠におめでとうございます。継続した努力、卓越したセンス、モチーベーション、体力、時の運、すべてが合致した前人未到の金字塔だと思います。今後も将棋の更なる高みを目指して前進を続けられる事を期待します」とコメントを発表しました。

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 将棋 藤井聡太 史上初の八冠「息長く活躍できるように」

2023年10月12日 4時48分

将棋界で史上初の八大タイトル独占を達成した藤井聡太さん(21)が記者会見し、「すごくうれしく思っている。息長く活躍できるように目指していきたい」と気持ちを語りました。

将棋の八大タイトルの1つ、「王座戦」五番勝負の第4局は11日京都市で行われ藤井さんがタイトルを持つ永瀬拓矢さん(31)に挑戦しました。

対局は互いに持ち時間を使い切って「1分将棋」となり、一進一退の攻防が続く熱戦となりましたが、最終盤で藤井さんが逆転勝ちをおさめ、3勝1敗で「王座戦」を制して将棋界で史上初の八大タイトル独占を達成しました。

藤井八冠は対局を終えた11日夜10時半すぎに記者会見し「このような結果を出せるとは自分自身でも思っていなかったのですごくうれしく思っている。プロになってから振り返ってみてもあっという間で、特にタイトル戦に出られるようになってからは自分が思っている以上にいい結果を残せたと感じている」と振り返りました。

そして今後については「今回の王座戦も苦しい将棋が多く、実力としてまだまだ足りないところが多いということは変わらず感じているので、その地位に見合った実力をつけられるように今後いっそう取り組んでいかなくてはいけない」と話していました。

その上で「まずは実力をつけて、おもしろい将棋を指したいという気持ちがある。羽生善治九段は七冠を達成したあともずっとトッププレーヤーとして活躍されているので、自分も息長く活躍できるよう目指していきたい」と話していました。

藤井さんの師匠の杉本昌隆八段はNHKのインタビューに「『ここまで強くなるとは』と思いました。すばらしいです。よくやってくれました。」と喜びを語りました。

杉本八段は、永瀬拓矢王座から逆転勝ちを決めた11日の「王座戦」第4局について、「師匠としては、きょうで決めてほしいという気持ちがありました。永瀬王座は非常に強敵なので、最終戦までもつれ込むと危ないという思いもありました。ただ、同時に永瀬王座にも勝ってほしかったという思いもあるんです。今期は『名誉王座』がかかっていましたし、本当に内容がよかったんです。フルセットまでいって、最終局で決着を見たかった思いもあります」と振り返りました。

また、2人の王座戦での戦いぶりについては、「改めて、人と人の勝負の素晴らしさ、そして将棋の楽しさと、恐ろしさも感じました。将棋は逆転する競技なんです。その逆転した瞬間を見逃さない藤井八冠の強さも光りました。八冠と名誉王座をかけた勝負にふさわしい五番勝負だったと思います」と語り、両者をたたえました。

そして、弟子である藤井さんが将棋界で史上初の「八冠」を達成したことについては、「『ここまで強くなるとは』と思いました。すばらしいです。八冠全冠制覇というのは、これはもう理屈ではないので、この領域までたどりつくのかという驚きはあります。よくやってくれました」と喜びを語りました。

偉業を達成した藤井さんにどんなことばをかけたいかと尋ねると、「『お疲れさん』と言いたいです。でもだいたい、『ありがとうございます』って言われて、話がそこから発展しないのがいつものことなので、今回もそうなんだろうなと。そして、『こないだの将棋は危なかったね』という話をふると、凄く楽しそうにその話にのってくるんじゃないかという気がします」とねぎらいのことばを贈っていました。

そのうえで、今後の藤井さんの活躍については「一つの大きな区切りであるのは間違いありませんし、これからまた新たなステージに向かって、藤井八冠は進んでいくと思います。ただ、将棋というものは人間では解明できないほど奥が深いもので、今回もミスは出ているわけです。ということは、いくらでも反省材料がある。それがある以上、藤井八冠は目標を持って、これからも将棋の道にまい進していくと思う」と期待を語っていました。

最後に、藤井さんにはこれからどんな棋士になってほしいかを尋ねると、「彼の役目は『勝ちまくること』。そして楽しい将棋、人が見て感動する将棋を指すことです。その姿勢はこれからも変えずに勝ち続けてほしいし、今までのような将棋が好きな“将棋少年”の気持ちを忘れないで、これからも将棋に向かってほしいと思います」と笑顔で語っていました。
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