宮城県と福島県で震度6強 :出典  2022年3月17日 7時54分 NHK ニュース

宮城県福島県震度6強 宮城と福島沿岸の津波注意報は解除    

16日午後11時36分ごろ、宮城県福島県震度6強の揺れを観測する地震があり、宮城県福島県の沿岸に津波注意報が発表されましたが、午前5時にすべて解除されました。
気象庁は、揺れの強かった地域では今後1週間程度は最大震度6強程度の揺れに警戒するよう呼びかけています。

震度6強

この地震震度6強の揺れを、
宮城県登米市蔵王町
福島県相馬市、南相馬市国見町で観測しました。

震度6弱

震度5強の揺れを岩手県宮城県山形県福島県で。

震度5弱の揺れを青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県、栃木県、それに新潟県で観測しました。

このほか、震度4から1の揺れを北海道から九州にかけての広い範囲で観測しました。

気象庁 震源の深さとマグニチュードを更新

気象庁は、この地震について、
震源の深さを60キロから57キロに、
地震の規模を示すマグニチュードを7.3から7.4に、
それぞれ更新しました。
この地震で、気象庁は、宮城県福島県の沿岸に津波注意報を発表しました。
宮城県石巻港では午前2時14分に30センチ、
仙台港では午前1時46分に20センチ、
福島県の相馬港でも午前3時15分に20センチの、
それぞれ津波を観測しました。
津波注意報は午前5時にすべて解除されました。
岩手県から福島県にかけての沿岸では、今後、多少の潮位の変化はあるかもしれませんが、津波の被害の心配はないということです。
福島県沖や宮城県沖ではその後も地震が相次いでいて、気象庁によりますと17日午前7時までに震度1以上の地震が14回起きています。
また、この地震の2分前には福島県沖を震源とする深さ57キロ、マグニチュード6.1の地震が発生しました。
気象庁は、揺れの強かった地域では今後1週間程度は最大震度6強程度の揺れに警戒するよう呼びかけています。
激しい揺れにより建物やブロック塀などが損傷したり、地盤が緩んだりしているおそれもあり、危険な場所には立ち入らないほか、土砂災害や雪崩などにも十分注意してください。

長周期地震動 最大「階級4」を観測

宮城県福島県震度6強の揺れを観測した今回の地震では、長くゆっくりとした揺れ、「長周期地震動」が観測され、宮城県では最も大きい「階級4」を観測しました。
長周期地震動は規模の大きな地震で発生する周期が2秒を超えるような大きくゆっくりとした揺れで、特に高層ビルなどで影響が出ます。
今回の地震で、宮城県登米市大崎市、それに涌谷町では、最も大きい階級4の揺れを観測しました。
気象庁によりますと、階級4の揺れでは、高層ビルなどで立っていることができず、固定していない多くの家具が転倒し壁にひび割れや亀裂が多くなるとしています。
階級4の揺れを観測したのは去年2月13日に福島県沖で起きたマグニチュード7.3の地震以来です。
このほか、階級3から1の揺れを北海道から東海にかけての広い範囲で観測しました。

宮城県福島県震度6強は去年2月以来

宮城県福島県震度6強の揺れを観測したのは去年2月13日に福島県沖で起きたマグニチュード7.3の地震以来です。
この時は
震度6強の激しい揺れを宮城県蔵王町福島県の相馬市、国見町、新地町で、観測したほか、
震度6弱の揺れを福島県宮城県の各地で観測しました。

東大地震研 古村教授「建物の傾きなど身の回りの安全確認を」

地震のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の古村孝志教授は「震度6強の地域もあり耐震性のない住宅やブロック塀には、すでに被害が出ている可能性が十分にある。海岸の近くのほか、傾いている建物などあれば身の回りが安全かどうか、確認したうえで丈夫な建物などに避難したほうがよい」と呼びかけています。
そのうえで、「福島県沖やその周辺はふだんから地震活動が活発なところで、11年前の巨大地震の影響も続き、地震が起きやすい状態だ。今後もしばらくは同じくらいの規模の揺れを伴う地震に注意してほしい」と話しています。

東大 平田名誉教授「今後も同程度の揺れを伴う地震の可能性」

宮城県福島県震度6強を観測した今回の地震について、東京大学の平田直名誉教授は「地震が起きたのは11年前の巨大地震以降、活発な地震活動が続いている地域だ。正確な震源の情報はまだわからないが、深さから見ると、沈み込む太平洋プレートとの境界付近か、プレート内部で起きた地震ではないか」と指摘しました。
そのうえで「今後も同じ程度の揺れを伴う地震が発生する可能性があり、まずは揺れに警戒してほしい。揺れの強かった地域では特に耐震性の低い古い住宅などが損傷を受けていると、今後、地震で倒壊する危険性もあるので、安全な場所で過ごしてほしい」と呼びかけていました。

東北大 今村教授「海岸や川の河口付近には近づかないで」

今回の地震について、津波のメカニズムに詳しい東北大学の今村文彦教授は、「大きな地震で数十センチ程度の津波が発生するおそれがある。念のため海岸や川の河口付近には近づかないでほしい」と話していました。
また「今回の地震やその後も相次いで発生している地震で、今後、津波がさらに大きくなるおそれもあることから、自治体の避難情報をこまめに確認するなどして揺れが収まるまでは海岸に近づかないなど身の安全の確保を続けてほしい」と話していました。

建物被害や停電中の片づけに注意

震度6強や6弱など、強い揺れがあった地域では、建物の被害や片づけに注意が必要です。
<建物の被害に注意>
耐震性が低かったり老朽化が進んでいる住宅などの建物は、地震による大きな揺れで倒壊などの被害を受けるおそれがあります。
迅速な避難が難しい夜間や、建物のきしむ音がしたり、壁に亀裂やひび割れが入っているなど、不安な場合は避難所や近くの頑丈な建物で過ごしてください。
この際は、ほかの建物やブロック塀にも注意してください。
揺れで弱くなっている可能性があります。
<夜間の片づけは危険>
停電し、周囲が暗い中での片づけは、割れた食器やガラスなどで思わぬけがをする危険があります。
無理をしないようにして、室内を歩くときは懐中電灯などを使い、スリッパや靴をはくようにしてください。
片づけは明るくなってから行い、不安な場合は安全な場所に避難してください。

通電火災やロウソク火災に注意

地震の影響で、広い範囲で停電が発生しています。今後、注意が必要なのは、「通電火災」や「ロウソクによる火災」です。
<通電火災>
「通電火災」は、電気の復旧に伴って揺れで倒れた電気コンロなどの電気器具や損傷した配線から出火する火災で、阪神・淡路大震災東日本大震災でも起きています。通電火災を防ぐには、停電中はブレーカーを下ろしておいたり電気器具のプラグをコンセントから抜いておいたりするほか、電気の復旧の前に電気の配線が損傷していないか確認することが大事です。
<ロウソク火災>
停電のためロウソクで明かりをともす場合にも注意が必要です。
「ロウソク火災」は、余震などでロウソクの火が周囲に燃え移ることで起きることが多く、東日本大震災でも起きています。
「ロウソク火災」を防ぐには、できればLEDなど熱の出ない明かりを使うことが望ましく、ロウソクを使わざるをえない場合も、その場を離れるときや寝るときには必ず火を消しておくことが大事です。

土砂災害に注意

震度5強以上の強い揺れでは崖や斜面で土砂災害のおそれもあります。
土砂災害が起きていない場所でも、落石や崖崩れなどが起きやすくなっている可能性もあります。
できるかぎり早いうちに安全な場所に避難してください。
ただ、地震が起きてから安全な場所に避難する十分な時間がなく、斜面や崖に近い場所などで不安がある場合には、避難所や住宅の2階以上で過ごしてください。
平屋の住宅で過ごす場合には斜面から遠い近隣の家に身を寄せるなど、少しでも離れた場所で休むようにしてください。

10分余りの間に3回に緊急地震速報を発表

この地震を含めて、気象庁は10分余りの間に合わせて3回にわたって緊急地震速報を発表しました。
【1回目 23:34】
最初の緊急地震速報は16日午後11時34分ごろに発表されました。
震源地は福島県沖で、震度5弱程度の揺れが宮城県南部や福島県中通り福島県浜通りで予測されるというものでした。
【2回目 23:36】
その2分後の11時36分ごろ、2回目の緊急地震速報が発表されます。
震源地は同じ福島県沖で、震度6強程度以上が宮城県中部で、震度6弱程度以上が宮城県南部と宮城県北部、福島県浜通り福島県中通り岩手県内陸南部、山形県村山で予測されるというものでした。
この地震では実際に宮城県福島県震度6強を観測しました。
【3回目 23:46】
その後の11時46分ごろ、福島県中通りで震度5強程度、宮城県南部で震度5弱から5強程度の揺れが予測されるなどとして、3回目の緊急地震速報が発表されました。

それぞれの地震は精査中

これらについて気象庁は、地震後の会見の中でも今回の地震の2分前に最大震度5弱の揺れを観測する別の地震が発生していたとしていますが、その後発生した地震を含め詳細は精査中としています。