自民党総裁選(4)

  総裁選まで残り数日になりましたが、アンケートによる誰が総裁になって欲しいかと言う問いの答えが当初とは若干変化してきたようです。国会議員票の争奪戦は熾烈な争いとなっており、最近の調査では河野ほぼ3割、岸田3割強、高市3割弱、野田当初と変わらず推薦人の域を出ずと言う状態になっているとのこと。河野・岸田・高市の3氏は拮抗しつつも、岸田氏が若干リードしている模様だがこうなると決選投票で勝利するカギは何か。そして岸田前政調会長高市総務相が逆転する可能性はどのくらいあるのか。河野:岸田の決選投票なのか河野:高市の決選投票なのかいずれでも河野に分が悪い予想が多い。NHK世論調査では、自民党総裁選の議論への期待として、(1)新型コロナ対策44%、(2)経済財政政策33%、(3)エネルギー政策4%、(4)外交安全保障8%となっている。このテーマでは大きく違うのはエネルギー政策では河野氏核燃料サイクルの見直しという「変化球」を投げてきた。核燃料サイクルとは、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発の燃料に利用する政策である。核燃料サイクルの見直しについて、一部の保守系からやはり「脱原発」だという声が出ているが、核燃料サイクルは、脱原発とは無関係だ。核燃料サイクルは、かつて原発導入国でウランの枯渇を危惧して構想されていた。しかし、ロシア、中国、インドなどの一部の国では以前計画が進められているが、多くの先進国では既に行われていないか、見直しが進められている。先進国の中では、日本とフランスが熱心だったが、フランスも、サイクルの要となる高速増殖炉の凍結をしている。こうしてみると、原発稼働国でも見直しは当然となっている。核燃料サイクルについて、河野氏は、再処理にトラブルがある上で必要のないプルトニウムを取り出すことは意味ないとしているが、岸田氏や高市氏はどう対応するのか。今回の自民党総裁選は、事実上ゲーム理論での3人ゲームだ。3人ゲームでは、3人のうち1人が突出して過半数をとらない限り、2位と3位の2人が結託してどちらかが勝つというのがセオリーだ。今のところ、誰も過半数を制していないので、ゲーム理論どおりになる可能性がある。今回の自民党総裁選の選出方法も、国会議員と党員との一回目の投票で過半数がとれないと、1位と2位との決選投票で国会議員のウエイトが高まるのも、2位と3位の結託インセンティブになる。はたしてどうなるか。